本好きのハルカのブログ

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【すみだ川】〜永井荷風が描く、幼馴染との恋愛と本当にやりたいこと

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本の紹介のお時間です!

 

本日は永井荷風の小説『すみだ川』をご紹介します。

 

永井荷風明治12年 (1879年) に、東京小石川区金富町、今の文京区春日に生まれました。

 

耽美文学を代表する作家で『腕くらべ』『つゆのあとさき』『濹東綺譚』など数多くの作品を遺しています。

 

アメリカ、フランスにおよそ5年ほど滞在し『あめりか物語』『ふらんす物語』を著した荷風は、帰国して1年後、32歳の時に、江戸の面影を色濃く残す隅田川界隈を舞台にした『すみだ川』を書いています。

 

常磐津の師匠を母に、世を捨てた俳諧師を叔父に持つ中学生「長吉」の、幼馴染「お糸」への恋心を詩情豊かに描いた作品です。

 

それでは、永井荷風『すみだ川』の魅力を、私、ハルカがご紹介します!

 

 

「お糸」との逢引き

はじめに主要人物の紹介から入りますね!

 

この小説の主人公は長吉 (ちょうきち) と云います。中学生で18歳。画学や習字、三味線など芸能の才能はあるけれど、体育ができない芸術肌の人物です。

 

そして、長吉の幼馴染であり想い人のお糸 (おいと)。16歳で、霞町の芸者になっていきます。

 

さて、この二人は小さい頃から仲良しで「将来は結婚する!」みたいな話を本人同士でするほどの仲良しだったのです。

 

しかし、長吉は将来大学に入るために勉強に追われ、お糸は霞町の芸者なってしまい長吉の元から離れてしまいます。

 

物語は男性である長吉の視点で進むのですが、遠距離恋愛によって「自分から気持ちが離れていかないか」とか「しばらく見ないうちに雰囲気が変わってしまった」とかネガティブなことを考えてしまうのですね……。

 

その心情の描写がとても緻密で、なおかつ十代だからこその初々しい感じもあって、ドキドキが止まりませんでした!

 

ドキドキというよりハラハラに近いかもしれませんが "anxious" というのがストライクな表現ですね!

 

まさに十代の私からすると、時代観は今とは違うけれど共感できる部分は多かったです。

 

 

母からの愛情

今度は長吉の叔父と母についても解説しなければなりません。

 

松風庵蘿月 (しょうふうあんらげつ)

長吉の伯父であり、お豊の兄。俳諧宗匠。元々は相模屋という質屋の跡取り息子だったが、道楽をしすぎて勘当されてしまい、俳諧師として世を渡っていくことになった。

 

お豊 (おとよ)

蘿月の妹であり長吉の母。兄・蘿月の代わりに質屋を継いだ亭主といたが、不景気と火事によって相模屋は潰れ、亭主とも死に別れてしまい、現在は今戸で常磐津の師匠をしながら長吉と2人で住んでいる。

 

なお、常磐津と云うのは三味線音楽の一つです。

 

お豊は以前、経済的に厳しい生活を送っていました。そのために収入の安定しない常磐津の師匠をしていたのです。

 

それに加えて兄は浮世離れした世渡り上手ですが、決して余裕がある生活をしているわけではなく、自由気ままにその日ぐらしの毎日です。

 

そんな環境で過ごしてきたので、お豊にとっての幸せは息子が安定した生活を送れるようにすること。

つまり、大学校へ入れて立派な職に就けてあげることだったのです。

 

ですが長吉は、叔父や芸者になったお糸の影響と、幼少期に三味線が好きだったことから、学問ではなく芸能の道に進みたいと考えるようになります。

 

母であるお豊は当然それに大反対するのですが、お豊にはお豊なりの幸福があって、でもその幸福は長吉にとっては違うもので。

 

この愛情のすれ違いの描写も『すみだ川』にはとても秀逸に描かれています。

 

うるさく口を挟んでくる親も、ちゃんと私たちのために言ってくれるのですね。

ただちょっと目線が違うので、ついつい反発しがちですが……。

 

本当にやりたいことって?

この作品を通して考えさせられたのは、今の自分は本当にやりたいことをやっているのか、ということについてです。

 

確かな満足感をもって一日を終えられるのか。

 

本当に後悔は無いのか。

 

人間はいつ死んでしまうのかわからない生き物です。

急にウィルスに罹患して、コロッと亡くなってしまうかもしれません。

 

とはいえ人生は意外と長いものでもあります。

 

ですから大切なのは、自分なりに大きな目標を掲げて、志高く日々を過ごすことだと思います!

 

常に自分の意思で物事を決定して、能動的に行動していきたいですねっ!

 

かくいう私は春休みなので、お昼前まで爆睡ですが。(笑)

 

これも自分の意思で睡眠を決定しているので、それはそれで良いのです!(笑)

 

〜終わりに〜

ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

永井荷風『すみだ川』はいかがでしたか?

 

幼馴染との恋物語かと思いきや、実は中身は人生論? という見方もできるかも、です!

 

荷風の作品は、夏目漱石芥川龍之介とかと比べると知名度が低い感は否めませんが、詩情に富んだ素敵な作品がたくさんあるので、ぜひぜひ読んでみてくださいね!

 

ではでは、皆さん良い読書ライフを!

また明日お会いしましょうね!

ハルカでした!(*´꒳`*)