本好きのハルカのブログ

「本」に興味のある全ての人へ捧げる紹介ブログです! いつも本を全く読まない人でも、月に何十冊も読む人でも、本の魅力と情報をお報せします!

【グッド・バイ】〜太宰治の未完の小説! これまでとこれから

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本の紹介のお時間です!

 

本日は太宰治の小説『グッド・バイ』をご紹介します。

 

太宰治明治42年 (1909年) に、青森県北津軽郡金木村、今の五所川原市に生まれました。

 

新戯作派、無頼派を代表する作家で『走れメロス』『人間失格』『斜陽』など我々の胸に深く残る作品を遺しています。

 

太宰は『人間失格』の執筆の際に熱海、三鷹、大宮と場所を移しながら執筆し、その後自宅に戻ってから『グッド・バイ』を書き始めたと云われています。

 

主人公の田島周二はある雑誌の編集長を務める人物であり、闇商売も行っていたため大変裕福でしたが、愛人を10人も持っていました。そんな彼が真っ当に働こうと決断し、愛人達を次々にフっていく物語です。

 

それでは、太宰治『グッド・バイ』の魅力を、私、ハルカがご紹介します。

 

 

アンビバレントな感情

太宰の作品は、まるで自分をモデルにしたかのような、常に相反する感情を抱えた主人公が出てきます。

 

人生に絶望していながらも希望を忘れない。太宰の多くの作品は、全体にわたって暗くどんよりとした雰囲気が覆っており、何となく読んでいて不快になる人もいたのではないでしょうか。

 

しかし何度か読んでいると、その中にほんのりと希望の光が灯っていると感じることがあります。

 

『グッド・バイ』で云うと、周二が愛人をつくってしまったことは明らかにネガティブな行為ですが、そんな彼女達と別れ、これからを生きていこうとする。

 

これからをどう生きていこうか、という疑問に太宰作品の魅力はあるのではないでしょうか。

 

 

自己嫌悪と苦悩

とはいえ、太宰自身がそんな自分を嫌悪していたのは確かなようです。

 

太宰作品に登場する男性達は女性に頼ったり、自殺したり、発狂したりとろくでなしが多いです。

 

人間誰しもそういう弱い、というか、厳しい現実から逃避したい感情というのは必ずあると思います。

 

太宰はその部分の心理描写が大変上手く、共感力を刺激してくる作家としてはトップクラスです!

まああまり共感しすぎると酷い自己嫌悪に陥りますが。(笑)

 

『グッド・バイ』は最序盤しか描かれていないので、他の作品と比べてまだ明るい雰囲気ですから比較的読みやすいと思います!

 

未完の絶筆作品

この『グッド・バイ』は、太宰の自殺によって終ぞ完成することはありませんでした。

 

もし生きていたなら、太宰はこの続きをどのように表現したと思いますか?

 

一応決まっていたようですが、その先の展開を自分で妄想してみるのも楽しいですよ!

 

 

〜終わりに〜

ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

太宰治『グッド・バイ』いかがでしたか?

 

彼の作品は、私達のこれまでの在り方とこれからの在り方を共に考えさせられるものが多いです。

 

ぜひ皆さんも太宰ワールドに浸ってまで下さい!

 

ではでは、皆さん良い読書ライフを!

また明日お会いしましょうね!

ハルカでした!(*´꒳`*)

 

 

【古代への情熱】〜シュリーマンが抱き続けた夢

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本の紹介のお時間です!

 

 

本日はハインリヒ・シュリーマンの自叙伝『古代への情熱』をご紹介します。

 

ハインリヒ・シュリーマンは1822年に、メクレンブルク=シュヴェリーン大公国のノイブーコウに生まれました。

(おおまかにはドイツです)

 

実業家として活躍し巨万の富を築いた後、彼の幼少期からの夢であったトロイアの遺跡の発掘を行いました。

 

その他にもミケーネやティリンスの発掘も行い、それまでは完全な創作と認識されていた古代ギリシア考古学の実質的なパイオニアとなった人物です。

 

それでは、ハインリヒ・シュリーマン『古代への情熱』の魅力を、私、ハルカがご紹介します!

 

貧しかった幼少期

シュリーマンは9人兄弟の6番目の子として生まれ、初めはそれほど不自由な生活をしていた訳ではないようです。

 

しかし9歳の時に母親が死亡し、父親が酒に溺れるようになってしまいます。

 

さらに13歳の時にギムナジウム──日本で云えば中高一貫校のような学校──に入学するのですが、1年もしないうちに貧しさから退学します。

 

しかしここからがシュリーマンの凄いところでした。

 

徒弟として働く一方で語学を猛勉強し、英語やフランス語をはじめとして15か国語をマスターしたのです!

 

同時にこの部分を「盛っている」と批判する人もたくさんいるようですが……。

 

シュリーマンにとって語学の勉強は実益を兼ねた趣味のようなものだったらしく、毎日寝る間も惜しんで勉強したと書かれています。

 

ここからも自分の意志で勉強することの重要性が窺えますね。

 

 

実業家として活躍した青年期

14歳から働いていたシュリーマンですが、20歳の時にオランダの貿易会社に就職し、そこから才覚を現していきます。

 

24歳の時に独立。サンクトペテルブルクに商社を設立し、ロシア国籍を獲得しました。

 

もちろん学校で学んだことはなかったシュリーマンでしたが、実業家としての活躍は素晴らしいものでした。

 

フォーティーナイナーズと云う言葉の由来になった出来事の、アメリカで発生したゴールドラッシュ。

ナイチンゲールの活躍でも有名なクリミア戦争

 

これらの歴史的な大事件を見逃さず、この時期に巨万の富を築きました。

 

 

引退後から始めた遺跡発掘

シュリーマンは41歳で事業を畳み、株式投資を細々と続けながら、満を辞して幼少期からの夢であったトロイア遺跡の発掘を開始します。

 

彼は神秘的なものに憧れを持っていました。子どもの頃、父親が話し聞かせてくれたトロイア戦争のエピソードが大好きで、いつか自分が発掘してやる! と、ずっと思っていたのですね。

 

そうして、それまで伝説上の存在だと認識されていたトロイア、ミケーネ、ティリンスの遺跡の発掘を行い、夢を叶えてから亡くなったのでした。

 

残念ながらシュリーマンは批判の多い人物です。

 

「18か国語をマスターした」と云う記述の虚偽や「幼少期からの夢の実現」は後付けであると云われるのですね。

私の世界史の先生も散々に貶していました。

 

確かに『古代への情熱』と云う自叙伝は小説ではなく、かと云って完全な伝記でもありません。あくまで個人やその友人が記述したものであるため、多分に脚色、美化されていることが想像されます。

 

しかし子どもの頃からの夢を追い続けた究極形として、そして熱量を持って生きた一人の男性として捉えると、彼の生き様をカッコいいと感じることが出来るかもしれません……!

 

〜終わりに〜

ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

ハインリヒ・シュリーマン『古代への情熱』いかがでしたか?

 

貧しさから現実主義的な思考を持ちつつも、ある種の純粋さを忘れないで生きる。

 

そんな生き方を私もしたいものです。(笑)

 

ではでは、皆さん良い読書ライフを!

また明日お会いしましょうね!

ハルカでした!(*´꒳`*)

 

【すみだ川】〜永井荷風が描く、幼馴染との恋愛と本当にやりたいこと

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本の紹介のお時間です!

 

本日は永井荷風の小説『すみだ川』をご紹介します。

 

永井荷風明治12年 (1879年) に、東京小石川区金富町、今の文京区春日に生まれました。

 

耽美文学を代表する作家で『腕くらべ』『つゆのあとさき』『濹東綺譚』など数多くの作品を遺しています。

 

アメリカ、フランスにおよそ5年ほど滞在し『あめりか物語』『ふらんす物語』を著した荷風は、帰国して1年後、32歳の時に、江戸の面影を色濃く残す隅田川界隈を舞台にした『すみだ川』を書いています。

 

常磐津の師匠を母に、世を捨てた俳諧師を叔父に持つ中学生「長吉」の、幼馴染「お糸」への恋心を詩情豊かに描いた作品です。

 

それでは、永井荷風『すみだ川』の魅力を、私、ハルカがご紹介します!

 

 

「お糸」との逢引き

はじめに主要人物の紹介から入りますね!

 

この小説の主人公は長吉 (ちょうきち) と云います。中学生で18歳。画学や習字、三味線など芸能の才能はあるけれど、体育ができない芸術肌の人物です。

 

そして、長吉の幼馴染であり想い人のお糸 (おいと)。16歳で、霞町の芸者になっていきます。

 

さて、この二人は小さい頃から仲良しで「将来は結婚する!」みたいな話を本人同士でするほどの仲良しだったのです。

 

しかし、長吉は将来大学に入るために勉強に追われ、お糸は霞町の芸者なってしまい長吉の元から離れてしまいます。

 

物語は男性である長吉の視点で進むのですが、遠距離恋愛によって「自分から気持ちが離れていかないか」とか「しばらく見ないうちに雰囲気が変わってしまった」とかネガティブなことを考えてしまうのですね……。

 

その心情の描写がとても緻密で、なおかつ十代だからこその初々しい感じもあって、ドキドキが止まりませんでした!

 

ドキドキというよりハラハラに近いかもしれませんが "anxious" というのがストライクな表現ですね!

 

まさに十代の私からすると、時代観は今とは違うけれど共感できる部分は多かったです。

 

 

母からの愛情

今度は長吉の叔父と母についても解説しなければなりません。

 

松風庵蘿月 (しょうふうあんらげつ)

長吉の伯父であり、お豊の兄。俳諧宗匠。元々は相模屋という質屋の跡取り息子だったが、道楽をしすぎて勘当されてしまい、俳諧師として世を渡っていくことになった。

 

お豊 (おとよ)

蘿月の妹であり長吉の母。兄・蘿月の代わりに質屋を継いだ亭主といたが、不景気と火事によって相模屋は潰れ、亭主とも死に別れてしまい、現在は今戸で常磐津の師匠をしながら長吉と2人で住んでいる。

 

なお、常磐津と云うのは三味線音楽の一つです。

 

お豊は以前、経済的に厳しい生活を送っていました。そのために収入の安定しない常磐津の師匠をしていたのです。

 

それに加えて兄は浮世離れした世渡り上手ですが、決して余裕がある生活をしているわけではなく、自由気ままにその日ぐらしの毎日です。

 

そんな環境で過ごしてきたので、お豊にとっての幸せは息子が安定した生活を送れるようにすること。

つまり、大学校へ入れて立派な職に就けてあげることだったのです。

 

ですが長吉は、叔父や芸者になったお糸の影響と、幼少期に三味線が好きだったことから、学問ではなく芸能の道に進みたいと考えるようになります。

 

母であるお豊は当然それに大反対するのですが、お豊にはお豊なりの幸福があって、でもその幸福は長吉にとっては違うもので。

 

この愛情のすれ違いの描写も『すみだ川』にはとても秀逸に描かれています。

 

うるさく口を挟んでくる親も、ちゃんと私たちのために言ってくれるのですね。

ただちょっと目線が違うので、ついつい反発しがちですが……。

 

本当にやりたいことって?

この作品を通して考えさせられたのは、今の自分は本当にやりたいことをやっているのか、ということについてです。

 

確かな満足感をもって一日を終えられるのか。

 

本当に後悔は無いのか。

 

人間はいつ死んでしまうのかわからない生き物です。

急にウィルスに罹患して、コロッと亡くなってしまうかもしれません。

 

とはいえ人生は意外と長いものでもあります。

 

ですから大切なのは、自分なりに大きな目標を掲げて、志高く日々を過ごすことだと思います!

 

常に自分の意思で物事を決定して、能動的に行動していきたいですねっ!

 

かくいう私は春休みなので、お昼前まで爆睡ですが。(笑)

 

これも自分の意思で睡眠を決定しているので、それはそれで良いのです!(笑)

 

〜終わりに〜

ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

永井荷風『すみだ川』はいかがでしたか?

 

幼馴染との恋物語かと思いきや、実は中身は人生論? という見方もできるかも、です!

 

荷風の作品は、夏目漱石芥川龍之介とかと比べると知名度が低い感は否めませんが、詩情に富んだ素敵な作品がたくさんあるので、ぜひぜひ読んでみてくださいね!

 

ではでは、皆さん良い読書ライフを!

また明日お会いしましょうね!

ハルカでした!(*´꒳`*)

【吾輩は猫である】〜夏目漱石の処女小説!吾輩の飼い主はくしゃみ先生!?

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皆さんはじめまして!ハルカです!

本の紹介のお時間です!

 

本日は夏目漱石の小説『吾輩は猫である』をご紹介します。

 

夏目漱石は1867年 (慶応3年) に、江戸の牛込馬場下横町、現在の東京都新宿区喜久井町で生まれました。

 

明治期を代表する作家で『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『こころ』など今でも広く親しまれている作品を遺しています。

 

漱石が所属していた俳句雑誌『ホトトギス』では小説が盛んになっており、当時、東京帝国大学明治大学で講師をしていた漱石は、高浜虚子の勧めで『吾輩は猫である』を著しました。

 

中学校の英語教師である珍野苦沙弥の家に飼われている猫「吾輩」の目線から、珍野一家やそこに集まる彼の友人、門下の書生たちの人間模様を面白おかしく風刺的に描いた作品です。

 

吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ」という書き出しはとても有名で、皆さんも聞いたことがあるかもしれません…。

 

それでは、夏目漱石吾輩は猫である』の魅力を、私、ハルカがご紹介します!

最後までぜひお付き合いくださいね!

 

 

個性豊かな登場人物

吾輩は猫である』を読み始めて、まず最初に驚くのは登場人物の名前ではないでしょうか。

 

例えば「吾輩」の主人は、珍野苦沙弥 (=ちんのくしゃみ) と読むのですね。(笑)

 

他にも迷亭 (めいてい) や水島寒月 (みずしまかんげつ) などなど特徴的な名前のキャラクターが小説を彩ります。

 

夏目漱石のような明治期の作家については、教科書や便覧に載っていることから難しいイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、このような個性的な名前のキャラクター達の影響もあって、読んでみるとその世界にのめり込んでしまうこと間違いなしですっ!

 

「吾輩」の目線

上では人間のキャラクターについてご紹介しましたが、もちろん主人公の「吾輩」も忘れてはいけません。

 

「吾輩」は珍野家で飼われている雄猫で、その年齢はおよそ一歳です。

作中の第十一章で二歳になります。

 

この猫、年齢に見合わず非常に哲学的な思考をするのです。

 

彼は人間の生態を細かく観察し、西洋の哲学者や作家の例を引用したり、猫だからこその視点で人間を説明したりします。

 

地球を勝手に分割して所有地だと主張するおかしさや、伸ばしておけばいいのに髪をわざわざ切り整える不思議さなど、猫の視点から見た人間の滑稽さを実に上手に解説しています。

 

お餅を喉に詰まらせて踊ったり、カラスと喧嘩する場面は、思わずクスッとなってしまうと思います!

 

 

多彩な言葉遊び

漱石は子どもの頃から漢学が好きでした。

今風にわかりやすく云うと「漢文」ですね。

 

五言絶句とか七言律詩とか、一応学校で習いますよね。それを漱石は若い頃から自作するほど、漢詩に長けていたのです。

 

実際の中国の漢人、当時は清王朝ですが、その人たちにも劣らないほど出来が良かったようです。

 

その漢学についての膨大な知識から紡ぎ出される文章は、教科書に載るだけあって、本当に洗練されていると思います。

素人目ですが。(笑)

 

すらすら読むのは難しいかもしれませんが、こんな言葉の使い方や語彙があったのか!と勉強にもなりますよ!

 

〜終わりに〜

ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

以上、夏目漱石吾輩は猫である』のご紹介でした。

 

漱石の処女小説ということで、全体的に明るくコメディチックになっていますから、入り口としては入りやすいのではないでしょうか?

 

唯一の欠点は、まあそこそこ長いことですね。(笑)

私も初めて読んだ時、あれ?意外と量あるじゃん!ってびっくりしました……。

 

ではでは、皆さん良い読書ライフを!

また明日お会いしましょうね!

ハルカでした!(*´꒳`*)